全日本博物館学会第40回研究大会で研究発表をしました。

http://www.museology.jp/14soukai/soukai14628629.html

<発表タイトル>

「展覧会開催による資料の収集について    ―先の大戦の記録と記憶の発掘」


<要旨>

  • 研究の目的

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近現代の歴史に関する事象に関する研究においては、既存資料を材料とした展覧会により、直接の見学者およびその関係者を経由し、該当する事象の関する直接的な記憶や記録等あらたな資料を収集することが期待できる。

現実世界での展覧会には期間的、地理的、物理的な制約が付随する。仮想世界でウェブサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用することによって、情報へのアクセスの可用性を広げ、資料収集の可能性を高めることを試みる。

  • 事例報告

まもなく戦後70年を迎える。慶應義塾関係者から2200人を超す戦没者が出たが、この昭和の戦争の時代の議論は必ずしも十分ではない。「慶應義塾と戦争 アーカイブ・プロジェクト」では、多様な議論のための基礎資料の収集・検討のために、以下のような取り組みを行っている。

終戦時に20歳だった方が90歳を迎えつつある今を逃せば、永久にその機会は失われるとの危機感から発足したこのプロジェクトでは、戦後70年を迎える2015年を目処に、下記のことに取り組みます。

•義塾や塾生・塾員関連のオリジナル資料を収集し、後世に伝えることに資する

•当事者の聞き取りや回想記を収集し、研究に活用できるようにする

•戦時期の慶應義塾の人・組織の動きを知るための基礎的なデータを整備する

•上記の資料やデータを、展覧会やインターネットで積極的に公開する
(以上、プロジェクト趣意書より抜粋)

プロジェクトは、2013年末に「展覧会 慶應義塾と戦争Ⅰ 慶應義塾の昭和十八年」を開催し多数の見学者を集めた。また、事前準備・展覧会会期・展覧会後に渡り、インターネット上での情報公開も積極的に行ってきた。その結果、新資料の発掘も行われている。

当時の経験者のみならず、それに続く世代へのアプローチの戦略立案と実績を報告する。

<参考>

「慶應義塾と戦争」アーカイブ・プロジェクト ホームページ 

http://project.fmc.keio.ac.jp/

「慶應義塾と戦争」アーカイブ・プロジェクトfacebook 

https://www.facebook.com/fmcproject

共同研究者 都倉 武之(慶應義塾福沢研究センター 准教授)

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 発表風景